動画を作る時、最初に決めるのは編集ソフトや派手な演出ではありません。
誰に何を伝え、見終わった後に何をしてほしいかです。
伝えることが決まれば、必要な映像、説明の順番、字幕の量を判断できます。
素材を集めてから構成を考えると、使わない映像の制作に時間がかかります。
このレッスンでは、架空の予約サービスの使い方を伝える30秒の動画を例に、台本、素材、編集、音声、確認までをつなげます。
30秒は練習用の長さです。
AI生成は必要な場面だけに使い、実際の操作は画面収録で見せるなど、説明に合う方法を選びましょう。
この記事で学ぶこと
- 目的に沿った短い動画の台本を作れる。
- 実際の収録とAI生成の使いどころを分けられる。
- 字幕・音声を整え、実機で確認して完成させられる。
見終わった後の行動を、一つ決める
動画の目的を「サービスを紹介する」だけで終わらせず、視聴者の変化まで書きます。
今回なら「初めて使う人が、予約する日時を選べるようになる」です。
料金、会社紹介、すべての機能を同時に説明すると、何を覚えればよいのか分かりにくくなります。
一つの短い動画では、一つの疑問に答えることから始めます。
次に、どこで見る動画かを決めます。
スマートフォンの縦長画面で見るのか、サイト内の横長の動画枠で見るのかによって、映せる範囲や字幕の配置が変わります。
縦と横のどちらが優れているという話ではありません。
掲載場所を決めずに作ると、重要なボタンや人物を切り落として調整することになります。
誰がどんな状態で見るかも想像します。
予約の直前に操作を確かめたい人なら、実際の画面へ早く入る構成が役立ちます。
サービスを知らない人なら、最初に何ができるかを短く見せます。
音を出せない状況もあるため、操作の順番と結果は、映像と文字だけでも追えるように用意します。
制作前の仕様メモには、対象者、目的、掲載場所、長さの目安、縦横比、見終わった後の行動を書きます。
今回の例は「初回利用者向け、日時選択の理解、サイト内の横長表示、約30秒、予約画面へ進む」です。
このメモを基準に、途中で増やしたい説明が出た時も、今回の目的に必要か判断します。
台本を、画面・言葉・時間に分ける
台本は話す文章だけでなく、その時に何を映すかと、どのくらいの時間を使うかをセットで書きます。
難しい絵を描く必要はありません。
「予約ボタンを押す画面」「日付を選ぶ画面」のように、一場面を一行で示します。
場面ごとに伝えることを一つにすると、映像と説明が別の話になるのを防げます。
説明は、できるようになること、実際の手順、次の行動の順で組みます。
今回なら、冒頭で予約できると伝え、中央で日時を選ぶ手順を見せ、最後に予約内容の確認を案内します。
長い挨拶や会社紹介は、この目的には必要ありません。
一方、利用条件など省くと誤解される情報は、必要な場面へ残します。
最初から秒数を厳密に合わせるより、仮の台本を声に出し、画面を見る時間があるか確かめます。
文字を読み切れても、ボタンの位置を探す時間がなければ操作説明としては速すぎます。
説明を詰めるために読み上げ速度を上げる前に、重複する文や、今回扱わなくてもよい補足を削ってください。
以下は架空のサービスを題材にした時間配分です。
実際の画面や読み上げ方に応じて長さを変えて構いません。
二十秒で十分なら無理に三十秒へ伸ばさず、手順が多いなら動画を分けます。
動画の長さを守ることより、視聴者が迷わず次へ進めることを優先します。
| 時間の目安 | 映すもの | 伝えること |
|---|---|---|
| 0〜4秒 | 予約後の利用イメージ | 希望の日時を選んで予約できます |
| 4〜11秒 | 予約ボタンとカレンダー | 予約画面を開き、日付を選びます |
| 11〜23秒 | 時間の候補と選択結果 | 空いている時間を選びます |
| 23〜30秒 | 確認画面 | 日時を確かめて、次の手続きへ進みます |
実際の画面とAI素材を、使い分ける
操作や商品の仕様を正確に伝える場面は、実物の撮影や画面収録を優先します。
AIで似た画面を作ると、存在しないボタンや読めない文字が混ざり、説明と実際の操作が食い違うことがあります。
今回の予約手順は、練習用の架空データを入れた画面を収録し、実際に選択結果が変わるところまで見せます。
AI生成は、導入のイメージや概念の補足など、現物をそのまま示す必要がない場面で使えます。
例えば、カレンダーを確認する人物の短い映像です。
商品が実際に動いている記録と誤解されない使い方にします。
素材を生成する前に、台本のどの場面で何を補うか決めれば、見栄えだけの不要な映像を減らせます。
指示は、主役、動き、カメラ、背景、変えない点に分けます。
練習なら「机のカレンダーを見る人物。視線を一度だけ動かす。カメラは固定。背景は簡素。服装と顔を保ち、文字は入れない」と書きます。
これは考え方の例で、同じ指示でも生成結果は変わります。
動作を一度に増やさず、必要な短い素材ごとに確認します。
生成した映像は最初と最後だけでなく、途中も見ます。
手や物の形が変わる、人物が入れ替わる、文字が崩れるなど、説明を妨げる変化がないか確認してください。
うまくいかない時は再生成を繰り返すだけでなく、動きを減らす、静止画に置き換える、実際に撮るといった方法へ切り替えます。
順番を整えてから、字幕と音を足す
編集では、まず台本の順に素材を並べ、不要な待ち時間や失敗した操作を切ります。
最初の仮編集では、切り替えの演出や音楽を増やさず、説明の順番が通るかを見ます。
ボタンを押す前に結果が出てしまう、前の説明が終わる前に次へ移るなど、理解を妨げるつながりを先に直してください。
操作説明では、何を押したかと、押した後に何が変わったかを一組で見せます。
間を詰めすぎると、視聴者は変化を見失います。
必要なら注目する部分を拡大し、短い強調を加えます。
ただし画面全体を揺らしたり、毎回異なる切り替えを使ったりすると、操作より演出へ注意が向いてしまいます。
字幕は重要なボタンや人物の顔に重ならない位置へ置き、背景と区別できる色や帯を使います。
一度に表示する文章を短くし、スマートフォンの実寸に近い状態で読めるか確かめます。
ナレーション全文を伝える字幕と、要点だけを示すテロップは役割が違います。
要点だけの表示では、音声情報のすべては伝わらない点に注意します。
音は説明の声を先に整え、その後で必要ならBGMを加えます。
BGMを聞かせるために声を大きくするのではなく、声が無理なく聞こえるまでBGMを下げます。
イヤホンと端末のスピーカーで確認し、場面が変わった瞬間の音量差も直します。
音楽がなくても伝わるなら、無理に入れる必要はありません。
書き出した動画を、視聴者の条件で確認する
編集画面で再生できたら完成、とは限りません。
掲載先が受け付ける形式、解像度、容量を確認して書き出し、できた動画ファイル自体を最初から最後まで見ます。
端が切れる、音がずれる、字幕が消えるなど、編集画面では気づかなかった問題がないか確かめます。
設定値は掲載先の最新の案内に合わせます。
次に、想定する端末で再生します。
スマートフォンなら、画面を拡大せずに字幕と操作箇所が見えるか、音量を普段の大きさにして説明が聞こえるかを確認します。
無音でも手順が分かるかも試してください。
投稿画面のボタンや説明欄が映像へ重なる場合は、プレビューで重要な情報が隠れないか見ます。
第三者へ見てもらう時は、「どうでしたか」だけでなく、「何ができる動画でしたか」「次にどこを操作しますか」と聞きます。
編集を知らない人が迷った場所は、説明を補う候補になります。
作り手には当然の前提でも、初めて見る人には分からないことがあります。
見た目の好みと、理解が止まった問題は分けて記録します。
公開前には、氏名や通知など映り込んだ情報、読み間違い、素材の利用条件を確認します。
AI素材や音声も、利用するサービスと今回の公開用途に合う条件を確認してください。
完成後は台本、素材、編集データ、最終動画を分けて保管します。
修正する時に元の素材を探し直さずに済み、次の動画にも手順を再利用できます。
実践課題
実践課題:一つの手順を30秒で伝える
自分の仕事から、一つだけ説明したい操作を選びます。
練習には個人情報のない画面を使い、素材を並べて切る、文字を重ねる、音量を変える、動画を書き出す機能のある編集ソフトを用意します。
AI素材は必要な場合だけ追加してください。
- 対象者、見終わった後にできること、掲載場所を一文ずつ書く。
- 三〜四場面に分け、画面、説明の言葉、時間の目安を台本にする。
- 操作画面を収録する。補助的なAI素材を使うなら、一つの動きだけを指示して確認する。
- 台本順に並べ、不要な待ち時間を切り、字幕と音声を整える。
- 書き出したファイルをスマートフォンで見て、音あり・無音の両方で手順を確認する。
架空の完成例目的:初回利用者が予約の日時を選べる。構成:できること4秒、日付選択7秒、時間選択12秒、次の手続き7秒。素材:練習用画面の収録。字幕:押す場所と選択結果。確認結果:時間の候補が小さかったため、その場面だけ拡大。AI映像とBGMは理解に不要だったため使用しない。
自己確認
- 説明、画面、字幕が同じ操作を示しているか。
- 初めて見る人が、音を出さずに次の操作を答えられるか。
- 公開用ファイルを実機で再生し、文字、音、個人情報、素材の利用条件を確認したか。
まとめ
短い動画は、素材の多さや派手さより、何をどの順番で伝えるかが大切です。
台本で画面と言葉と時間を揃え、実際の操作と補助的なAI素材を使い分けましょう。
仮編集で順番を整えた後に字幕と音を足し、書き出したファイルを視聴者の端末で確認します。
まず一つの手順を伝え、迷われた場所を直すところまでが練習です。
- 目的に沿った短い動画の台本を作れる。
- 実際の収録とAI生成の使いどころを分けられる。
- 字幕・音声を整え、実機で確認して完成させられる。





