顧客に『こんな商品があったら欲しいですか』と聞きます。
多くの場合、相手は好意的に答えます。ただ、その答えだけでは実際に使うか、支払うかは分かりません。
インタビューでは、最近起きた具体的な行動と、そのときの困りごとを聞きます。
この記事で持ち帰ること
この記事では、考え方を知るだけでなく、自分の仕事で一度試せる状態まで進めます。読みながら、いま困っている場面を一つ思い浮かべてください。
- 最近起きた具体的な場面
- そのときに取った代替行動
- 時間や費用を使った理由
先に、この記事の結論
インタビューでは、次の三つを中心に聞きます。
- 最近起きた具体的な場面
- そのときに取った代替行動
- 時間や費用を使った理由
1. 最近の具体的な場面を聞く
『困っていますか』ではなく、『最後に困ったのはいつですか』と聞きます。時期や状況が具体的になるほど、課題の実態が見えてきます。
質問最後にその作業で困ったのはいつですか。そのとき何をしていましたか
2. 解決のためにしたことを聞く
課題が強ければ、顧客は何らかの対処をしています。検索、外注、我慢、既存ツールなど、実際にしたことを聞きます。
意見を聞く
- あったら便利ですか
- 使ってみたいですか
- いくらなら買いますか
行動を聞く
- 今は何で対処していますか
- 前回は何分・いくら使いましたか
- なぜその方法を選びましたか
3. 仮説と事実を分けて記録する
インタビュー後に、発言・観察した行動・自分の解釈を分けます。解釈を事実として扱わないことが重要です。
| 記録 | 例 |
|---|---|
| 発言 | 毎週、整理に時間がかかる |
| 行動 | 既存テンプレートを毎回修正している |
| 仮説 | 整理より、修正の手間が課題かもしれない |
3つの基準を、実務でどう使い分けるか
ここまでの要点は、三つを同時に満たすための標語ではありません。作業の段階ごとに使う判断基準です。順番を飛ばすと、手段だけが増え、何を改善したのか分からなくなります。
1. 最近起きた具体的な場面
観察した事実と解釈を分ける観点です。性格や意欲で説明する前に、いつ、どこで、何をしたかを記録します。一度の反応を固定的な特徴にしません。
「最近起きた具体的な場面」を確認するときは、判断を一文で書きます。根拠にした事実も隣へ置くと、別の選択肢と比べるときに迷いません。
2. そのときに取った代替行動
行動を妨げる状況を探す観点です。本人を変えようとする前に、情報量、選択肢、時間、周囲の刺激を確認します。環境の小さな変更から試してください。
「そのときに取った代替行動」を確認するときは、判断を一文で書きます。根拠にした事実も隣へ置くと、別の選択肢と比べるときに迷いません。
3. 時間や費用を使った理由
変化を安全に確かめる観点です。人には個人差があり、同じ方法が全員に効くとは限りません。本人の言葉と実際の行動を両方見て、決めつけを避けます。
「時間や費用を使った理由」を確認するときは、判断を一文で書きます。根拠にした事実も隣へ置くと、別の選択肢と比べるときに迷いません。
変更前と変更後の間にある判断
変更前あったら便利ですか。使ってみたいですか。いくらなら買いますか
変更後今は何で対処していますか。前回は何分・いくら使いましたか。なぜその方法を選びましたか
重要なのは、変更後の表現をそのまままねることではありません。何が曖昧だったために判断できず、どの情報を加えたことで次の行動を選べるようになったかを読み取ります。
自分の仕事へ置き換えるときは、固有名詞や数字だけを差し替えません。相手の状況、止まっている理由、決める必要があることを先に書き換えてください。
変更後の案が長くなった場合は、目的に直接関係しない説明を削ります。短さを優先するのではなく、判断に必要な情報だけが残っている状態を目指します。
手順ごとの確認点
「顧客インタビューは、意見より最近の行動を聞く」を実務で使うときは、次の手順を一度に終わらせません。各段階で短い記録を残すと、途中で迷っても一つ前の判断へ戻れます。
対象者が最近困った場面を一つ想定する
最初の作業では、対象と出力を一文で書きます。固有の業務名、相手、利用場面のどれかが入っていると、次の手順で迷いません。
最後に起きた時期を聞く
二つ目の作業では、選んだ内容と理由を並べます。別の案を採用しなかった理由も一言残すと、判断基準が明確になります。
そのときの対処を聞く
三つ目の作業では、今回扱う範囲を固定します。追加したくなった内容は別のメモへ移し、最初に決めた目的から外れないように進めてください。
使った時間や費用を聞く
四つ目の作業では、変更前と同じ条件で結果を確認します。差がなければ、対象の選び方と変更内容のどちらを見直すか決めます。
発言・行動・仮説の記録欄を用意する
最後の作業では、今回だけ通用した条件と、次回も使える判断を分けます。使える条件と使わない条件の両方を残してください。
結果が出ないときは、どこへ戻るか
本人の意欲を原因にしている
観察できない評価語を外します。どの場面で、どの行動が、何回起きたかへ書き換えると、変えられる条件が見えます。
一度の成功が続かない
行動した日の環境を確認します。時間、場所、直前の行動、必要な道具を比べ、再現できる条件だけを残してください。
全員へ同じ方法を当てている
平均的な傾向は個人の答えではありません。選べる方法を二つ用意し、本人の反応を見ながら調整します。
失敗は、最初からすべてやり直す合図ではありません。対象、根拠、変更、確認のうち、記録が途切れた場所だけへ戻ると改善を続けられます。
実践課題の完成条件
課題は「インタビュー質問を五つ作ります。」です。資料を作っただけでは完了にしません。次の四項目を第三者が読み取れる状態まで整えます。
- 誰の、どの業務や場面を扱ったかが一文で分かる
- 変更前の事実と、困っていた理由が分かれている
- 今回変えた箇所と、その判断理由が対応している
- 結果を確認する数字、行動、完成状態のどれかがある
説明を加えないと伝わらない場合は、情報量を増やす前に順番を見直します。第三者が「何を見て、何を変え、どう確かめるか」を説明できれば合格です。
仕事で使うときの確認順
一度にすべてを変える必要はありません。次の順番で確認すると、どこを直したかと、その変更が効いたかを追いやすくなります。
- いま困っている人、業務、場面を一つに絞る
- 変更前の状態を、数字または観察できる行動で残す
- この記事の判断基準を一つだけ使って変更する
- 同じ条件で変更後を確認し、次に残す改善を決める
よくある失敗
知識を増やすこと自体を目的にすると、実務は変わりません。また、複数の改善を同時に行うと、何が結果へ影響したか分からなくなります。最初は一つの場面、一つの変更、一つの確認指標に絞ってください。
実践課題
インタビュー質問を五つ作ります。
- 対象者が最近困った場面を一つ想定する
- 最後に起きた時期を聞く
- そのときの対処を聞く
- 使った時間や費用を聞く
- 発言・行動・仮説の記録欄を用意する
課題を終えたら確認すること
完成物を一人に見せ、説明を足さなくても要点と次の行動が伝わるかを聞きます。伝わらなかった箇所は、情報を足す前に、順番と具体例を見直してください。
まとめ
顧客の言葉は大切だが、未来の希望だけでは商品判断ができません。最近の行動を聞くと、課題の強さと代替手段が見えてきます。
- 最近起きた具体的な場面
- そのときに取った代替行動
- 時間や費用を使った理由

