提案に使う根拠と未確認事項をそろえる
AIに相談記録を渡すと、自然な文章にまとめる一方で、未確認だった条件まで決まったように書くことがあります。提案ではその小さな変化が費用、日程、実行可能性の誤解につながります。このレッスンでは、主張と根拠の場所を対応させる事実確認表を作ります。書かれていない情報も種類と確認者を整理し、全部を埋めるまで止まるのでも、空欄を想像で埋めるのでもない進め方を学びます。
学習目標
- 主張と根拠の場所を一対一で対応させる。
- 予算・期限・稼働の未確認を分けて残す。
- 重要な不足に優先順位を付ける。
根拠の場所まで記録する
提案に使う事実には、元資料のどこに書かれているかを付けます。「顧客から聞いた」という説明だけでは、どの発言を指しているか分かりません。資料が修正されたときも、その主張をもう一度確認できるよう、資料名、項目ID、該当する内容を残します。
今回の元情報にはR1、R2、P1、P2、E1、C1というIDがあります。「実運用は5名」はR2、「支援対象は5名まで」はP1です。数字は似ていますが、現状の人数と提供上限では意味が違います。両方を「5名」とだけ抜き出すと、後の変更で誤りを見逃します。
制作シートの事実確認表へ、主張、種類、根拠ID、確認状態を一行ずつ入れます。「4週間の支援」は提供側の提案条件、「開始日は未定」は未確認です。元資料を短く要約するときも、上限、税、期間、条件を落とさず、同じ意味で言い換えてください。
複数の資料が食い違う実案件では、AIにもっともらしい方を選ばせません。資料の作成日と責任者を確認し、正式に採用する版を決めます。この教材はv1を正本とします。作業中に自分が思いついた案は、元情報を上書きせず別の提案欄に記録します。
確定と仮説と未確認を分類する
情報を確定、仮説、未確認へ分けると、資料のどこに置けるか判断しやすくなります。確定は今回の教材設定で確認できる内容、仮説は理由を考えた案、未確認は判断に必要でも根拠がまだない情報です。現実の調査を終えたという意味での確定ではありません。
R1の担当未設定は相談の事実として扱いますが、その頻度は未測定です。担当ルールを整えると迷いが減る可能性は、提案の考え方です。「ルールを整えれば再確認が半減」とは書けません。割合の根拠がなく、試行前の状態すら数えられていないためです。
未確認にも違いがあります。予算承認は人へ確認する事項、現在の件数は記録して測る事項、録画サービスの有無のように今回の対象と関係しない項目は扱う必要がありません。何でも未確認一覧へ入れると、優先順位が付かず、提案の準備が終わりにくくなります。
表には、なぜ必要なのかも短く書きます。「予算承認がないと支援開始を確定できない」「現状件数がないと変化を比較できない」という理由です。空欄をなくすことより、判断に必要な情報の状態を説明できることを目標にしてください。
費用と期間の条件を揃える
費用は金額だけでなく、その金額で何をどこまで行うかと一緒に確認します。P2の36万円は税別の一式金額で、内訳は現状整理、運用設計、試行・振り返り支援が各12万円です。月額36万円、担当者一人36万円という意味ではありません。
教材上の税込額は39万6,000円、税額は3万6,000円と設定しています。これは提示された数値を正しく転記する演習です。実案件の税や支払条件を判断する説明ではありません。税込と税別を混ぜたり、合計だけ大きくして条件を隠したりしないようにします。
期間も、4週間という長さと開始日を分けます。開始日は未確認なので、カレンダーの日付をAIに割り当てさせません。顧客の予算、担当、使える情報が整った時点で開始条件を確認します。「4週間」とあるだけで、申込み翌日から始められると解釈しないでください。
支払時期や見積りの有効期限も、教材では未確定です。見積書らしい体裁を作るために「月末払い」「30日有効」などを追加すると、新しい契約条件になります。今回の資料では未確認と表示し、正式な条件を決める相手と時点を記録します。
先に確認する不足を選ぶ
不足情報は、判断への影響から順番を付けます。提案の方向を変える情報と、後で埋められる表記を同じ重さで扱わないことが重要です。対象が一部署なのか全社なのかは費用と体制を変えますが、表紙の提出日が未定でも構成の整理は進められます。
今回なら、管理部長の予算承認、現場の稼働確保、開始時期が優先です。試行に必要な記録を担当者が残せなければ、外部支援を入れても評価できません。各人1日5分という記録時間は提案上の確認条件であり、顧客が既に了承した作業時間ではありません。
制作シートに「確認したいこと」「確認する相手」「必要な時点」「分からない場合の扱い」を書きます。例えば稼働は窓口を通して責任者へ、開始前に確認します。確保できないなら対象を狭めるか開始時期を見直し、提案をそのまま実行したことにしません。
質問を増やすだけで相手の負担も増えます。すでにR2に書かれている判断者を、理由なく何度も聞き直す必要はありません。資料から答えられる項目を先に埋め、本当に不足しているものだけを確認依頼へ回すと、会話が具体的になります。
AIの整理結果を原文へ戻して確かめる
配布の工程別指示文の第2工程で、元情報と相談整理を読み、work/事実確認.mdとwork/未確認.mdへ保存するよう依頼します。AIの一覧が長く整っていても、根拠IDだけ見て合格にせず、重要な行を元資料へ戻して確かめてください。
最初に照合するのは、費用、対象人数、期間、顧客の作業、対象外です。これらは誤りが実行条件を変えます。「5名まで」が「5部署まで」になっていたら、文章の微修正では済みません。誤った行と正しい原文を示して訂正し、他の箇所にも同じ誤りがないか確認します。
次に、発言の要約が原因の断定へ変わっていないかを見ます。「再確認がある」から「管理が不十分」と評価を加えていたら、元の発言へ戻します。相手への責任追及のような言葉へ変わると、提案内容が正しくても、その前提を共有しにくくなります。
最後にファイルを開き直し、確認した内容が保存されているか確かめます。会話上で直した説明だけを残し、古い事実確認表から次の構成を作る失敗を防ぎます。確認表の版と日付を制作シートへ記録し、次の工程でも同じファイルを参照させます。
実践課題:根拠と不足の対応表を作る
相談記録と提供条件、前の相談整理を用意し、第2工程の指示を使います。費用、対象、期間、顧客作業、対象外に根拠IDを付け、確定・仮説・未確認を分類してください。優先する不足には確認者と時点を加えます。重要な五項目を原文へ戻して照合し、事実確認と未確認の二つのファイルを保存します。
架空の完成例は「36万円税別・一式、根拠P2。開始日未確認、確認先は窓口を通した責任者、開始前に確定」です。自己確認は、数値に意味と単位があるか、仮説を事実にしていないか、不足に次の確認方法があるかです。訂正があれば、チャットの返答だけでなく保存済みのファイルまで更新されたことを確認してください。
まとめ:資料の主張を元情報へ戻せるようにする
提案の重要な主張に、根拠IDと確認状態を付けました。費用は金額と範囲、期間は長さと開始日を分け、顧客の作業も承認済みかどうかを確認します。未確認は隠す情報ではなく、次の判断を進めるための問いです。AIが要約した結果を原文へ戻し、修正を保存したら、次は課題と解決策の対応を考えます。見栄えのために根拠のない数字を加えないことを、引き続き守ってください。
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